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政治に「気持ちが湧く」デザインを:チームみらいが仕掛けるUI/UXの革新

政治の世界と私たちの日常の間には、目に見えない巨大な壁が存在しています。その壁の正体は、情報の「難解さ」です。政治資金収支報告書や国会の議事録。これらを初めて目にしたとき、皆さんはどんな感情を抱くでしょうか。おそらく、多くの場合は「感情」以前の、圧倒的な「無」ではないかと思います。

公開日時: 2026年7月5日 5:45 · 更新: 2026年9月27日 22:48

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政治の世界と私たちの日常の間には、目に見えない巨大な壁が存在しています。その壁の正体は、情報の「難解さ」です。政治資金収支報告書や国会の議事録。これらを初めて目にしたとき、皆さんはどんな感情を抱くでしょうか。おそらく、多くの場合は「感情」以前の、圧倒的な「無」ではないかと思います。

> 「文字の壁だな、という感じですよね。目が滑るというか……。内容を理解してくださいというのは、あまりにハードルが高すぎる」

これは、私たちデザインチームが開発の過程で何度も直面した壁です。公開されている資料は、まるで「どこの数字を足して引けばいいのかさえ分からない算数のテスト」のようです。情報が「公開」されていることと、それが「理解」できることの間には、絶望的なまでの距離がある。この距離をデザインの力で埋めることこそが、私たちの使命です。

1. デザインの出発点:政治に「気持ちが湧く」という哲学

チームみらいのプロダクト開発において、もっとも大切にしている合言葉があります。それが「気持ちが湧かない」という言葉です。

行政データや法案の原文を見て、心が動かない。それはユーザーが悪いのではなく、届け方に「意志」が欠けているからです。私たちは、プロトタイプを作る際も「これを触って気持ちが湧くか?」を基準に、何度も磨き上げを行いました。

デザインとは単に色や形を整えることではありません。手を動かす前に「何っぽく見られたいか(イメージの想起)」を定義することが重要です。レトロなのか、ポップなのか。私たちは、政治という遠い存在を「自分たちの生活の延長線上にあるもの」として再定義することから始めました。

2. 『みらいまる見え政治資金』:家計簿の安心感と「にょろにょろ」

政治資金の透明化を目指す『みらいまる見え政治資金』では、日常のメタファー(比喩)を徹底的に活用しました。

  • **「家計簿」と「銀行口座」の安心感:**

馴染みのない政治資金を、自分たちの生活に密着した「家計簿」や、見慣れた「銀行口座のアプリ」のトーンで表現しました。収入と支出が時系列で並ぶUIは、ユーザーに「これは自分に関係のある、お金の流れなんだ」という直感的な理解を促します。

  • **「にょろにょろ(サンキーチャート)」がもたらす透明感:**

画面のトップには、お金の流れを一本の図にまとめた「サンキーチャート」を配置しました。複雑な数字の羅列ではなく、この「にょろにょろ」とした一本の図を見るだけで全体像が把握できる。その感覚が、ユーザーに「これなら分かる」という安心感と、プロダクトへの信頼感を与えます。

  • **遊び心が「とっつきにくさ」を壊す:**

あまりに真面目すぎるトーンは、時に人を遠ざけます。明細の下部に「機密データの流出事故ではありません」といったユーモアのある注釈を添えたのは、ユーザーの緊張を解き、プロダクトを「楽しそう」と感じてもらうための小さな、しかし大切な仕掛けです。

3. 『みらい議会』:AIで「文字の壁」を壊し、専門知を橋渡しする

国会の議論を可視化する『みらい議会』では、78年に及ぶ日本の議会政治の重みと、市民の理解をどう両立させるかが最大のテーマでした。

AIによる「ELI5(5歳児でもわかる解説)」

法案の原文は、専門家たちが積み上げてきた知の結晶です。しかし、同時にそれは巨大な「文字の壁」でもあります。私たちはAIを用い、アメリカで親しまれている「ELI5(Explain Like I'm Five:私が5歳児であるかのように説明して)」という手法を取り入れました。難解な法案が優しい言葉に変わった瞬間、私たち開発チーム自身の「気持ちが湧いた」あの感動を、ユーザーにも届けたいと考えたのです。

勇気を持って配置した「切り替えスイッチ」

分かりやすさを追求すると、どうしても正確性が削ぎ落とされるリスクがあります。政治家や官僚の専門知を軽視せず、敬意を払うために私たちが導入したのが、画面右上の「詳しく(専門用語)」と「やさしく(平易な言葉)」を切り替えるトグルボタンです。

既存のニュースメディアにも例がないこの機能を、あえて一等地(右上)に置くことには勇気が必要でした。しかし、ユーザーが自分の理解度に合わせて「情報の深さ」を自由に行き来できる体験こそが、これからの民主主義に必要だと確信しています。

ユーザーの学習を自然に支えるUI設計

| 搭載機能 | デザインの意図(The "Why") |

| :--- | :--- |

| ポップアップAI検索 | テキストを選択するだけで「AIに聞く」ボタンが出現。別タブで検索する手間を省き、思考を止めずに専門用語を理解できます。 |

| ダイナミック入力ボックス | スクロール中は邪魔にならないよう小さく、読む手が止まると「質問はありませんか?」と大きく変化。ユーザーの心の動きを察知します。 |

| クイック質問例 | 「この法案を一言で教えて」などのボタンを用意。何を質問すべきか迷う心理的ハードルを劇的に下げます。 |

4. 結論:デザインが民主主義をアップデートする

デザイナーの責任とは、単に情報を整理することではありません。現場にある深い「専門知」への敬意を保ちつつ、それをいかに市民が手触り感を持てる「自分事」へと変換するか。その橋渡しにこそ、デザインの本質があります。

  • **「公開」を「理解」へ変換するデザインの意志**
  • **日常のメタファー(家計簿・通帳)による心理的ハードルの低下**
  • **AIとの共生による「気持ちが湧く」政治体験の創出**

チームみらいのプロダクトは、まだ完成形ではありません。民主主義をデザインし直すこの試みには、皆さんの参加が必要です。「ここが使いにくい」「こんな機能が欲しい」といったフィードバックを、ぜひYouTubeのコメント欄などへお寄せください。

皆さんの声が、政治と私たちの距離をさらに縮め、新しい民主主義のカタチを作っていくのです。

唐

唐澤 あきら

Full stack 技術者

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