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なぜ小規模ブランドはEUの新規則に不満なのか? その理由と障壁

EUの新しい環境規制、デジタルプロダクトパスポート義務化に小規模ブランドから不満の声。その理由はコスト負担や不公平感。本記事ではその背景を分析する。

公開日時: 2026年9月4日 7:02 · 更新: 2026年9月27日 22:48

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EUの新規則が目指すもの

欧州連合(EU)は近年、持続可能性を重視した法規制を相次いで導入している。なかでも注目されているのが、いわゆる「エコデザイン規則」の一環として予定されている「デジタルプロダクトパスポート(DPP)」の義務化だ。

これは、EU域内で販売される衣料品などに対して、原材料の調達先や製造工程、リサイクル可能性などの詳細な情報をデジタル上で開示することを求めるもの。消費者にとっては製品の環境負荷を知る手がかりとなり、循環型経済への移行を後押しするというのがEUの狙いだ。

小規模ブランドにのしかかる負担

しかし、この新しい規則をめぐって、小規模なファッションブランドからは不満の声が上がっている。背景にあるのは、遵守に伴うコストと手間の重さだ。DPPに対応するには、サプライチェーン全体の情報を収集・管理するシステムの構築が必要となり、それなりの人的資源や資金が求められる。大手ブランドであれば投資可能な範囲でも、数十人のチームで運営するブランドにとっては、相当な負担となり得る。

あるヨーロッパの独立系ブランドの経営者は、「製品一つひとつにパスポートをつけるためだけに、複数のサプライヤーから詳細なデータを集めるだけで数ヶ月かかる。このために新しいスタッフを雇う余裕などない」と語る。こうした声は決して少数派ではない。

大手との不公平な競争

さらに、規則が「持続可能性における透明性」を高めることを目的としている点に皮肉がある。小規模ブランドはもともと、生産工程の見える化や倫理的な調達を強みとしていることが多い。しかし、情報をフォーマットに沿って提出・証明するには、専用の専門知識やツールが必要だ。一方、大手はすでにサステナビリティ報告の専門部署を持つことが多く、新規則を自社マーケティングに活用することさえ可能だ。

その結果、規則が本来促そうとした「環境に配慮した中小企業」の競争力をむしろ損ない、資金力のある大手だけが生き残る環境を生み出す危険性をはらんでいる。

それでも規則を支持する声も

一方で、新しい規則を歓迎する声も存在する。特に、消費者団体や環境NGOからは「これまで『オーガニック』『リサイクル可能』といった曖昧な主張に頼ってきたブランドにとって、この規則は信頼性を担保する仕組みになる」という意見が出ている。また、長期的に見れば、透明性の向上は業界全体の信頼を高め、持続可能な商品を売りにしたいブランドにとって追い風となるとの見方もある。

今後の行方

EUは中小企業への支援措置として、段階的な導入期間や共通のテンプレートの整備、補助金制度などを検討している。しかし、実際に施行されるまでには、多くの課題が残されていると言えるだろう。

持続可能性とビジネスの両立――それは、EUという巨大な経済圏が新たな挑戦を突きつけているテーマである。小規模ブランドの声をどう生かすのか、今後の動きから目が離せない。

唐

唐澤 あきら

Full stack 技術者

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