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令和8年度 中小企業診断士1次試験「中小企業経営・政策」速報解説:基礎力が勝敗を分けた年

全国の受験生の皆様、2日間にわたる過酷な戦い、本当にお疲れ様でした。まずは、今日まで自分を追い込み、全力を出し切った自分自身を、誰よりも先に褒めてあげてください。

公開日時: 2026年9月4日 5:12 · 更新: 2026年9月27日 22:48

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1. 冒頭:2日間の激闘を終えた受験生への労い

全国の受験生の皆様、2日間にわたる過酷な戦い、本当にお疲れ様でした。まずは、今日まで自分を追い込み、全力を出し切った自分自身を、誰よりも先に褒めてあげてください。

私の尊敬する中村真先生は、常々こうおっしゃっています。「まずは自分自身を労い、ここまで頑張った自分を褒めてあげてほしい」。試験直後の疲弊した心身に必要なのは、反省ではなく、まずは自己肯定です。

しかし、プロの視点から一つだけ忠告させてください。自己採点の結果、少しでも「いけるかもしれない」という手応えを感じた方は、今すぐ、それこそ今日から2次試験の準備を開始してください。1次試験の余韻に浸る時間は1分もありません。この「即座の切り替え」ができるかどうかが、最終合格への切符を手にできるかの分かれ目なのです。

2. 令和8年度試験の全体傾向と難易度分析

今年度の「中小企業経営・政策」を一言で集約するならば、「地道に基礎を積み上げた人が勝てる試験」でした。奇をてらった難問に振り回されず、テキストレベルの知識をいかに正確にアウトプットできたかが勝敗を決しました。

本年度の難易度ランクは以下の通りです。

  • **Aランク:** 絶対に落としてはいけない問題(テキスト掲載の基本事項)
  • **Bランク:** 合否を左右する標準問題(正答率50~70%程度)
  • **Cランク:** 難易度が高い応用問題(細かい数値や例外的な知識)
  • **Dランク:** 捨て問(努力が報われない、正答率が極めて低い問題)

今年度の特筆すべき点は、「Dランクの問題が1問もなかった」ことです。これは、学習範囲を無暗に広げず、基礎を徹底して磨き上げた受験生に報いる試験構成であったことを意味しています。

3. 前半戦「中小企業経営(白書)」:データから読み解く現状

「中小企業経営」セクションは、後半の「政策」に比べてBランクの問題が11問と多く、知識の「質」が問われました。

【設問内訳】

  • Aランク:7問
  • Bランク:11問
  • Cランク:3問

【主要な頻出・重要論点】

  • **従業員数と付加価値額の割合(第1問):** 中小企業の従業員数割合「70%」、付加価値額割合「56%」という基本数値を問うAランク問題でした。ここは絶対に外せません。
  • **デジタル化の取り組み段階(第8問):** 取り組み段階の順序が問われましたが、現状では「段階2(業務効率化)」が最も多く、「段階4(ビジネスモデル変革)」が最も少ないというトレンドを抑えていれば正答できました。
  • **労働生産性の推移(第14問):** 大企業が上昇傾向にある一方、小規模企業は横ばい。特に「小規模企業の労働生産性は大企業の3割程度」という衝撃的な格差データは、診断士として刻んでおくべき知識です。
  • **価格交渉・価格転嫁(第16問):** 昨今の物価高を反映した最重要論点。受注側からの交渉の難しさや、取引階層が深くなるほど(3次請けなど)転嫁が困難になる実態が問われました。

白書セクションは、Bランクをいかに拾い、失点を最小限に食い止めて「政策」へ繋げるかが鍵となりました。

4. 後半戦「中小企業政策」:新制度と頻出問題の宝庫

「中小企業政策」セクションは、Aランクが12問(B:8問、C:1問)と非常に多く、得点源となる「宝の山」でした。

特に注目すべきは、今年1月に施行されたばかりの「フリーランス保護新法(特定受託法)」です。ここから一挙に3問も出題されたことは、試験委員からの「最新トレンドを追いかけろ」という強いメッセージに他なりません。

【主要な政策トピックの要点】

  • **事業承継・M&A補助金:** 「100億円企業(ガゼル企業)」を目指す成長投資へのシフトを反映し、一定の賃上げを実施した場合の「補助上限額引き上げ」が問われました。
  • **物づくり・商業・サービス補助金:** ワークライフバランス(両立支援)への取り組みが評価項目となるなど、現代的な要件が並びました。ここで重要なプロの知識は、**「大幅な賃上げ要件を達成できなかった場合、補助金を全額返還しなければならない」**という厳しいペナルティの存在です。
  • **中小企業投資育成株式会社:** 融資ではなく、株式を引き受ける「エクイティファイナンス」の役割を正しく理解しているかが問われました。

政策セクションは、伝統的な制度に加えて、今年度のキーワードである「成長投資」「100億円企業」という文脈を抑えていたかが高得点の決め手でした。

5. 合否を分けた「3つの重要ポイント」

今年度の試験を分析すると、安定して60点を超えた受験生には以下の共通点があります。

1. 最新トレンドの完全包囲: フリーランス保護新法や価格転嫁、賃上げといった「今、中小企業が直面している課題」を確実に抑えていたか。

2. 基礎固め(A・Bランク)の徹底: Dランクがない年だからこそ、基本を疎かにした人から順に脱落しました。誰もが解ける問題を1つも落とさない精度が求められました。

3. 極限状態でのメンタル管理: 2日間の最終科目という、集中力が途切れがちな状況で、「Dランクはない、食らいつけば必ず解ける」と自分を鼓舞し続けられたか。

6. 中村講師からのメッセージ:試験の先にあるもの

中村先生には、今でも忘れられない記憶があります。それは2016年、地元・熊本で震災に遭った時のことです。そして奇しくも、この解説を収録する直前の7月28日にも、先生は熊本で再び大きな揺れを経験されました。

ガタガタと揺れる恐怖の中で、2016年の先生は「こんな大変な時に、自分は試験勉強などしていていいのか」と自問自答しながら診断士への挑戦をスタートさせました。

世の中には、受けたくても試験を受けられない人たちがいます。皆さんが今日、無事に全力を出し切れたこと自体が、実は非常に価値のある、幸せな機会なのです。この「挑戦できた幸せ」を噛み締め、結果を恐れずに前を向いてください。

診断士になった先には、皆さんが想像している以上に広大な可能性と、誰かを助けられる喜びが待っています。先生は、自身の経験を振り返りながらこうエールを送っています。

> 「今、自分がやれることを一生懸命やる。思いっきり自分が取り組める機会を楽しんでください。その積み重ねが、診断士としての未来を切り拓きます。」

7. まとめ:読者が持ち帰るべき3つのアクション

試験という大きな山を越えた今、次の一歩を踏み出すためのチェックリストです。

  • [ ] **精緻な自己採点とランク分析:** 公式解答に基づき、「どのランクで失点したのか」を明確にし、己の弱点を把握する。
  • [ ] **2次試験対策の即時フルスロットル:** 1次通過の可能性が1%でもあるならば、今日から事例問題の構造を脳に叩き込む。
  • [ ] **「基礎」への原点回帰:** 来年の再挑戦を見据える場合、範囲を広げる誘惑を断ち切り、今回のA・Bランクを100%正答できる基礎力を再構築する。

> 「試験を終えた自分を、まずは全力で褒めてあげてください。それが次のステップへ進むための、最大のエネルギーになります。」

唐

唐澤 あきら

Full stack 技術者

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