DeepMind出身者が創業のInherent、AI「チームメイト」がAnthropic・OpenAIを凌駕——研究再現で実証
DeepMind出身者が創業したInherentが、AIエージェント「Faraday」で科学論文の再現実験に成功。AnthropicやOpenAIを上回る性能を実証した。
公開日時: 2026年8月23日 7:03 · 更新: 2026年9月27日 22:48
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AIが科学論文の再現実験を自動化する時代へ
DeepMindの元研究者らが設立したイギリスのAI研究所Inherentが、同社のAIエージェント「Faraday」が科学論文の再現実験において、AnthropicやOpenAIのモデルを上回る性能を示したと発表した。この成果は、AIが単なるチャットボットから、科学研究における「チームメイト」へ進化する可能性を示すものだ。
「研究の再現」とは何か、なぜ重要か
学術研究の世界では、他の研究者が発表した実験を再現できるかどうかが「信頼性のリトマス試験紙」とされる。しかし、再現実験は時間と労力がかかる上、紙面上で省略された細かい条件が判明せず、失敗することも多い。近年では「再現性の危機」と呼ばれる問題が深刻化しており、AIによる自動化が期待されていた。
Faradayが達成したこと
Inherentによると、Faradayは複数の科学論文から実験手順を解析し、実際に実験ノートやコードを生成して再現を試みる。その成功率は、AnthropicのClaudeやOpenAIのGPTシリーズを上回ったという。同社は具体的な数字を明確には公表していないものの、内部ベンチマークでは「顕著な差」があったとしている。
特筆すべきは、Faradayが単にテキストを読むだけでなく、実験装置の操作手順や試薬の量などを自律的に判断し、仮説を検証する点だ。まるで人間の研究助手が論文を読み込み、実験室で試行錯誤するプロセスをシミュレートするかのようである。
Inherentの背景と戦略
Inherentはロンドンを拠点とする新興企業で、DeepMind出身のエンジニアと科学者によって2025年に設立された。同社はAIエージェントを「人間の研究者を補完する存在」と位置づけ、単なる自動化ではなく、創造性を引き出すパートナーシップを重視している。Faradayはその第一弾として、再現実験という地味だが極めて重要な領域に焦点を当てた。
業界への影響と課題
この動きは、AI競争の新たなフロンティアを示している。これまでAIは文章生成や画像認識など「認識・生成」が中心だったが、科学研究という「行動・検証」領域への進出は、各社にとって無視できない脅威となるだろう。
一方で、AIによる再現実験には課題もある。実験室の物理的環境を完全にシミュレートすることは難しく、実際の装置との誤差が生じる可能性もある。また、AIが生成した結果が「正しい」と盲信するのではなく、あくまで人間の判断材料として活用する慎重さも求められる。
科学のスピードを変える可能性
それでも、FaradayのようなAIエージェントは、科学研究のスピードを根本から変えると期待されている。研究者が毎日行う「論文を読む→実験する→考察する」サイクルをAIが一部肩代わりすることで、より創造的な仮説立案や理論構築に人間の時間を使えるようになるからだ。
Inherentの創業者たちは「単なる性能競争ではなく、AIと人間の協働がいかに科学を前進させるかが重要」と語る。彼らの挑戦が、未来の研究スタイルを切り拓く一歩となるのか。今後の動向に注目が集まる。
Full stack 技術者