グーグルの「Gemini」にはブランディング問題がある――AI業界全体に言えること
Googleの「Gemini」をはじめ、AI業界では「製品名」と「モデル名」が混在し、ユーザーを混乱させている。シンプルなブランディングこそが普及の鍵だ。
公開日時: 2026年8月27日 7:01 · 更新: 2026年9月27日 22:48
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「アプリ」と「モデル」が同名だと、ユーザーは混乱する
生成AIが急速に普及する中、各社のプロダクト名はユーザーにとってますます分かりにくくなっています。その最たる例が、Googleの「Gemini」です。ChatGPTのようなチャットアプリを指すのか、それともAIモデルの名前なのか、はたまたAPI経由で使う開発者向けのサービスなのか――。実際にはすべて「Gemini」という名前で呼ばれており、一般ユーザーには区別がつきません。
この問題はGoogleだけに限りません。Microsoftは「Copilot」という名前を、Office製品からWindows、Edgeブラウザまであらゆる場所で使っています。OpenAIにしても、「ChatGPT」というアプリ名と「GPT-5」というモデル名が混在し、さらに「o3」や「Sora」など次々と新たな名前が登場しています。ユーザーは「どの製品を使えばいいのか」ではなく、「そもそもこの名前は何を指しているのか」という根本的な部分でつまずいているのです。
ユーザーに「プロダクトの構造」を学ばせるな
テック業界では、技術的な構成をそのままブランド名に反映させることがよくあります。しかし、一般消費者向けのAIアプリにとって、これは逆効果です。ユーザーが知りたいのは「このアプリで何ができるか」であって、「裏でどんなモデルが動いているか」ではありません。それなのに、現状のブランディングはまるで「プロダクトの構造を勉強してください」と言っているかのようです。
例えば、スマートフォンを買うとき、私たちは「iPhone 15」や「Galaxy S23」といった製品名を知っていても、搭載されているチップの型番や、OSのカーネル構造を意識する必要はありません。それと同じ感覚でAIとも付き合いたいのです。AIはあくまで道具であり、ユーザーは「パソコン」と「CPU」の違いを意識せずに使えるはずです。
複雑な名前は「壊れたブランド」の象徴
マーケティングの観点から見ると、これはブランド戦略の失敗です。Appleが「MacBook」と「MacBook Air」と「MacBook Pro」をきちんと使い分けているのに対して、AI企業は「とりあえず同じ名前を付けておけばブランド価値が高まる」という短絡的な考えに陥っています。その結果、ユーザーは「Geminiって何?」「CopilotとChatGPTの違いは?」といった初歩的な疑問で検索エンジンを費やすことになります。
さらに悪いことに、同じ名前の付いた異なるサービスは、ユーザーの信頼を損ないます。無料アプリの調子が良かったので有料版にアップグレードしたら、実は別のプロダクトだったというケースも実際にあります。これでは「まるで詐欺にあった気分だ」と感じるユーザーが出ても不思議ではありません。
求められるのは「シンプルなストーリー」
では、どうすれば良いのか。答えは明確です。消費者向けには「アプリ」の名前を単独で使い、モデル名やAPI名は別のブランドにするか、少なくとも区別しやすくすることです。たとえば、Googleが「Gemini」というチャットアプリを始めるなら、モデル側は「PaLM継承の何か」というように違う名前にすればいいのです。Microsoftにしても、「Copilot」を「生産性アシスタント」という機能名として使うのは良いとしても、製品ごとに別の名前を用意するべきです。
ユーザーはロボットに話しかけるようにAIを使いたいのではありません。目的を達成するための道具として、直感的に使いたいのです。そのためには、企業は「エンジニアが作りたいもの」ではなく、「ユーザーが理解できるもの」としてブランドを設計する必要があります。
AI業界は驚くべきスピードで進化しており、それに伴ってマーケティングの複雑さも増しています。しかし、どんなテクノロジーであれ、結局は人に使われてこそ意味があります。名前の混乱でせっかくの技術が埋もれてしまわないよう、今こそブランディングの再考が必要です。
(この記事はTechCrunchの記事「Google's Gemini has a branding problem, and so does the rest of AI」を基に、日本の読者向けに再構成したものです。)
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