【日本株展望】日経平均9万4000円への道筋:8月の調整局面をどう乗り切るか?
足元の株式市場は、まさに歴史的な激動の渦中にあります。日経平均株価が1日で4,000円を超える歴代5位の下落幅を記録するなど、未曾有のボラティリティ(価格変動)に多くの投資家が不安を抱いていることでしょう。
公開日時: 2026年7月23日 5:05 · 更新: 2026年9月27日 22:48
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1. 導入:荒波の相場と「次なる強気相場」の予兆
足元の株式市場は、まさに歴史的な激動の渦中にあります。日経平均株価が1日で4,000円を超える歴代5位の下落幅を記録するなど、未曾有のボラティリティ(価格変動)に多くの投資家が不安を抱いていることでしょう。
しかし、大和証券のチーフテクニカルアナリスト・木野内栄治氏は、この荒波を「来年の大相場に向けた必要な調整」と一貫して分析しています。氏が掲げるターゲットは、2025年の日経平均8万8000円〜9万4000円という、現在の水準からは想像もつかない強気な領域です。
もちろん、楽観一辺倒ではありません。信用状況が悪化すれば5万1000円〜5万2000円程度までの調整も計算に入れる冷徹な分析眼を持ちつつ、なぜ今が「絶好の仕込み時」となるのか。本記事では、底打ちのタイミングと、パラダイムシフトが起きている物色戦略を、プロの視点から徹底解説します。
2. なぜ「8月」が重要なのか?底打ちのタイミングを予測する
相場の底打ち時期を特定する上で、木野内氏は「季節性」と「テクニカル」の二面から分析を行っています。
- **日本株の季節性:** 2010年以降の統計では、日本株は「7月にピークアウトし、8月にボトム(底)を形成する」という明確なパターンが存在します。
- **8月12日前後(SQ週)の節目:** 騰落レシオ(値上がり・値下がり銘柄の比率)が売られすぎの水準に達することに加え、近年は**SQ(特別清算指数)週の月曜日**に転換点を迎える傾向があります。今回も、8月12日前後が最初の重要な底打ち候補となります。
- **10月の「二番底」リスク:** 8月で下げ止まったとしても、10月には注意が必要です。歴史的には、1987年の「ブラックマンデー」直前のように、中東情勢(イラン等)の緊迫化と米国の金融政策が重なる時期は、不測のショックが起きやすいアノマリーがあります。この「二番底」への警戒を怠らないことが、プロのポジション管理です。
3. 「逆ディープシーク・ショック」が変えたAI相場の本質
これまで市場を牽引してきたAI・半導体相場のロジックは、いま劇的な変容を遂げています。木野内氏が提唱する「逆ディープシーク・ショック」という概念を理解することが、今後の投資の鍵となります。
| 以前の懸念(ディープシーク・ショック) | 現在の現実(逆ディープシーク・ショック) |
| :--- | :--- |
| AIモデルの小型化・圧縮が進めば、巨大なデータセンターは不要になる。 | 「知識は圧縮できない」ことが判明。モデルが進化するほど、より巨大なインフラが必要に。 |
| ハードウェア(半導体)需要は減退し、価格は下落する。 | メモリ(DRAM/HBM)需要はむしろ増大。製造難易度の高さ(歩留まり悪化)が供給不足を招く。 |
このパラダイムシフトにより、AI相場は「日経平均寄与度の高い一部のハイテク株」のみのラリーから、インフラや産業全体を押し上げる「TOPIX型」の広範な強気相場へと変貌し、長期的な株価押し上げ要因となるのです。
4. 2025年が「最強の年」になる2つの国際的理由
木野内氏が2025年に向けて極めて強気である理由は、米中両国の政治・経済サイクルに裏打ちされています。
- **中国(共産党大会に向けた実績作り):** 2027年の党大会を控え、2025年は「5カ年計画」の成果を出す極めて重要な年です。約1億人の党員が人事評価(昇進)のために、国家目標である**「半導体・AIへの集中投資」**を猛烈に加速させます。この巨大な需要がアジア圏全体の景気を底上げします。
- **米国(大統領選翌年、政権3年目のアノマリー):** 米国株には、政権3年目が最も上昇しやすいという強力な統計的傾向があります。特に共和党政権下では、GDP成長率がマイナスになると政権交代のリスクが高まるため、現政権(または次期政権)はあらゆる政策動向を動員して株価を支えに来る可能性が高いのです。
5. 日本銀行の政策リスクと「100兆円のヘッジ」の罠
国内の最大のリスクは、日本銀行の量的引き締め(QT)と実質金利の上昇です。
- **設備投資へのジレンマ:** 政府が15年で370兆円という巨大な設備投資戦略を掲げる一方で、日銀の利上げは実質金利を押し上げ、企業の投資意欲を削ぐ「逆行」の状態にあります。
- **外国人投資家の「逆スパイラル」メカニズム:** 外国人投資家は約400兆円の日本株を保有していますが、そのうち約**100兆円は「円売り・ドル買い」の為替ヘッジ**を伴っています。株価が下落すると、ヘッジ比率を維持するためにドル買いポジションを解消(円買い)せざるを得ず、これが「株安・円高」を加速させる悪循環を生みます。
この構造を理解していれば、現在の円高急進が「日本経済のファンダメンタルズの変化」ではなく、テクニカルなポジション解消(アンワインド)によるものだと冷静に判断できるはずです。
6. これからの物色戦略:ハイテクから「インフラ・バリュー」へ
今後の戦略として、単なるチップメーカーへの投資から、AIを支える「物理的インフラ」へのシフトを推奨します。
1. データセンター関連(重電・インフラ):
エヌビディアの新製品「ブラックウェル」等は製造難易度が高く、歩留まり(イールド)の悪化が懸念されています。しかし、サーバー(中身)が届かなくても、それを収める「箱(建物)」や「電源設備」の整備は止まりません。三菱電機、富士電機、明電舎、日立製作所など、確実な需要を捉える電力機器セクターは、ハイテク株に対してアウトパフォーム(相対的な優位性)を示すでしょう。
2. フィジカルAIと小型株:
仮想空間で学習を行う「フィジカルAI(ロボティックス)」の進化は、実社会へのAI実装を加速させます。また、10月のTOPIX改革を見据え、出遅れている実力派の小型株にも注目が集まります。
3. 季節的なバリュー株シフト:
例年、8月から翌年2月にかけてはバリュー株(割安株)の優位性が高まります。配当取りの動きも含め、ポートフォリオの重心をこちらに移すべき時期です。
7. 結論:投資家が今取るべきアクション
現在の激しい調整は、2025年の「日経平均9万4000円」という歴史的大相場に向けた、最大級の「押し目買い」の機会に他なりません。
短期的には8月SQ週の底打ちを確認し、中東情勢に伴う10月の二番底リスクを資金管理(キャッシュポジションの確保)でコントロールしながら、来年の主役となる銘柄を仕込むべきです。
まとめ:3つの重要キーワード
- **逆ディープシーク・ショック:** 知識は圧縮できず、AIインフラ需要は無限に増大するというパラダイムシフト。
- **8月SQ週:** 統計的・テクニカル的に最も有力な「第一の底」形成ポイント。
- **データセンター・バリュー:** 半導体そのものよりも、それを動かす電源や冷却、建屋を担う重電セクターへの戦略的シフト。
目先の荒波に怯えるのではなく、その先にある未踏の高みを見据えた投資判断こそが、今求められています。#
Full stack 技術者