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FOXニュース、看板キャスターのマリア・バーティロモ氏を電撃解任——誤情報発言が招いたスキャンダルの代償

FOXニュースが看板キャスター、マリア・バーティロモ氏を電撃解任。2020年米大統領選の「選挙不正」発言で訴訟に発展したスキャンダルの背景と、メディア業界への影響を解説する。

公開日時: 2026年9月4日 7:02 · 更新: 2026年9月27日 22:48

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アメリカのニュース専門局FOXニュースが現地時間2026年9月3日、同局の顔として長年活躍してきたキャスター、マリア・バーティロモ氏との契約を即日打ち切ったことを発表した。複数のスキャンダルに巻き込まれてきた同氏の去就は業界内で長く注目されていたが、まさかの電撃的な決着となった。

ウォール街の「マネーハニー」からFOXの顔へ

バーティロモ氏は1967年生まれのニューヨーク出身。1990年代にCNBCへ入社し、経済報道で頭角を現す。女性として初めてニューヨーク証券取引所(NYSE)のフロアから生中継を行ったことでも知られ、「マネーハニー」の愛称で親しまれた。株式市場や金融の解説に定評があり、投資家からの信頼も厚かった。

2014年にFOXビジネスへ移籍。朝の情報番組『モーニングス・ウィズ・マリア』や日曜夕方の政治討論番組『サンデー・モーニング・フューチャーズ』を担当し、瞬く間に同局の看板キャスターとなった。ドナルド・トランプ前大統領(当時)と近しい関係を築き、政権関係者を番組に頻繁に招いて事実上の広報塔として機能したとの指摘もある。

2020年米大統領選後の誤情報騒動

転機となったのは2020年の大統領選挙だ。バーティロモ氏は、敗れたトランプ氏が主張した「選挙は盗まれた」という根拠の乏しい主張を繰り返し放送。特に、投票機メーカー「ドミニオン・ボーティング・システムズ」に関する疑惑をあおる発言を連日のように行った。

これに対し、ドミニオン社は2021年、FOXニュースとその親会社フォックス・コーポレーション、さらにバーティロモ氏個人などを相手取り名誉毀損で提訴した。裁判の過程で開示された内部メールや証言からは、FOXの幹部や司会者らが視聴者の離反を恐れて虚偽の内容を放送していた実態が浮き彫りになり、米メディア業界を揺るがす一大スキャンダルへと発展した。

2023年4月、FOXはドミニオン社に対し、約7億8,750万ドル(当時のレートで約1,050億円)という巨額の和解金を支払うことで合意。バーティロモ氏に関する個別の責任追及は明確にされなかったが、その後も彼女は選挙結果に対する疑念を抱かせるような発言のトーンを大きく変えることはなかった。

2024年選挙をめぐる再発と今回の解任劇

今回の電撃解任の直接の引き金は、2024年の大統領選をめぐってもバーティロモ氏が誤情報や陰謀論に近い内容を番組内で放送し続けたことにあるとみられている。さらに、別の投票機メーカーであるスマートマティック社などから追加の法的措置の圧力がかかっていたとの観測もあり、スポンサー離れを懸念した経営陣がついに決断を下したようだ。

FOXニュースは9月3日付の短い声明で「バーティロモ氏との関係を終了する」と発表したが、理由の詳細については一切説明していない。複数の米メディアによると、社内でも今回の決定は極秘裏に進められ、共演者やスタッフにも事前に知らされていなかったという。

アメリカのメディアと政治の変わり目に

バーティロモ氏の今後の去就は未定だが、親トランプ系の新興メディアへの移籍や、自身の配信プラットフォームを立ち上げる可能性もささやかれている。一方でFOXニュース側も、2023年に同局を解任されたタッカー・カールソン氏のケースと同様、政治色の強いキャスターを整理し、報道機関としての信頼回復を進める動きの一環と受け止める向きがある。

日本では、主要なニュース局のキャスターが特定の政治家とここまで密接な関係を持ち、誤情報の拡散に加担するという事態は想像しにくい。しかし、アメリカの大手メディアの影響力と政治的分極化の深刻さを考えると、今回の出来事は他人事ではない。一人のスターキャスターの失脚にとどまらず、情報の信頼性をめぐる問題として、今後も注視していく必要があるだろう。

唐

唐澤 あきら

Full stack 技術者

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