スイスアルプスをゆく冬の鈍行列車:トリノへの旅
冬のスイスアルプスを鈍行列車でゆっくりと旅し、白銀の山々や凍った湖、雪の村々を堪能。ゴッタルド鉄道の絶景ルートを経て、イタリア・トリノへ至る12時間の贅沢な鉄道旅。
公開日時: 2026年6月7日 7:03 · 更新: 2026年9月27日 22:48
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スイスアルプスをゆく冬の鈍行列車:トリノへの旅
冬のスイスアルプス。白銀の山々と凍った湖、雪に覆われた村々。この絶景を、高速列車ではなく、あえて鈍行列車でゆっくりと旅する。そんな贅沢な時間を過ごすために、私はロンドンを発ち、チューリッヒを経由してイタリアのトリノへ向かうことにした。
旅の始まりは、ユーロスターでロンドンからパリへ。パリからはTGVでチューリッヒへ。しかし、本当の旅はチューリッヒから始まる。ここから先は、スイス国鉄(SBB)の普通列車に乗り換え、アルプスの山々を縫うように南下する。
列車はチューリッヒ中央駅を出発し、すぐに雪景色の中へ。車窓には、凍った湖や雪をかぶったモミの木、時折現れる小さな村々。車内は暖かく、乗客はまばらで、まるで自分だけのプライベートな展望台のようだ。
途中、ルツェルンで少し停車。湖畔の街は冬の観光シーズンで、多くの観光客で賑わっていた。しかし、私はすぐに列車に戻り、さらに南へ。列車はゴッタルド山塊を越える。このルートは、1882年に開通した歴史あるゴッタルド鉄道の一部で、トンネルや橋梁、ループ線が連続する見どころ満載の区間だ。特に、ヴァーゼンからエルストフェルトまでの間は、急勾配を螺旋状に登る線路が有名で、列車は何度も方向を変えながら高度を上げていく。雪の重みでしなる電線や、トンネルから出るたびに変わる景色に、思わずシャッターを切る手が止まらない。
国境を越え、イタリアに入ると、景色は一変する。アルプスの北側は雪と寒さだったが、南側は温暖で、空気も柔らかい。列車はイタリア国鉄(Trenitalia)の路線に乗り入れ、ドモドッソラから先はさらにのどかな田園地帯へ。オリーブの木やブドウ畑が広がり、まるで別世界だ。
最終目的地のトリノに到着したのは、夕暮れ時。サン・カルロ広場のライトアップが美しく、カフェでエスプレッソを飲みながら、一日の旅を振り返った。高速列車なら4時間のところを、鈍行で12時間かけたこの旅。しかし、その価値は十分にあった。時間をかけることで、風景の移り変わりを肌で感じ、地域ごとの文化の違いを実感できる。まさに「旅」そのものだ。
トリノでは、翌日からエジプト博物館や王宮、そして何より地元のチョコレートやワインを堪能するつもりだ。しかし、この旅のハイライトは、間違いなく列車の車窓から見たアルプスの絶景だった。もし時間に余裕があるなら、ぜひ「鈍行」の旅を試してみてほしい。きっと、新しい発見があるはずだ。
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