米加の関税応酬、中小企業にしわ寄せ ポートランドの衣料品店に聞く
米国とカナダの関税応酬が、中小企業に深刻な影響を与えている。ポートランドの衣料品店の経営者たちが、コスト上昇や価格転嫁の難しさなど実情を語る。
公開日時: 2026年8月25日 7:03 · 更新: 2026年9月27日 22:48
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米国とカナダの間で関税を巡る応酬が続いています。大企業だけでなく、小さな商店にも影響が広がっています。オレゴン州ポートランドにある衣料品店「パロマ・クロージング」の共同経営者、マイク・ローチさんとキム・オズグッドさんに、実情を聞きました。
「関税が引き上げられてから、仕入れ値が25%も上がりました。とても吸収できる額ではありません」とローチさんは話します。同店はカナダのメーカーから一部の衣料品を輸入しています。米国政府がカナダ製品に課す関税を引き上げた結果、コストが直接、跳ね上がったのです。
オズグッドさんは「私たちは小規模店なので、価格転嫁にも限界があります。値上げすれば顧客が離れるし、かといってこのままでは利益が圧迫されます」と嘆きます。実際、店では一部商品の価格を見直さざるを得ず、客足にも影響が出始めていると言います。
関税とは何か、なぜ紛争になっているのか
関税とは、輸入品にかけられる税金のことです。自国の産業を守るために導入されることが多いですが、最近の米国とカナダの対立は、安全保障を理由にした貿易制限が発端となっています。相手国が報復関税で応じるため、貿易全体が巻き込まれる「貿易戦争」の様相を呈しています。
日本もかつて自動車や農産物で同様の経験をしました。貿易相手国との関税摩擦は、輸出企業だけでなく、原材料を輸入する中小企業にも大きな影響を及ぼします。
中小企業が直面する現実
パロマ・クロージングのような小規模事業者は、価格交渉力が弱く、関税の影響を避けることができません。ローチさんは「取引先を変更しようかと検討しましたが、品質や納期を考えると簡単には切り替えられない」と話します。
さらに、通関手続きの複雑化や、不確実性による先行きの見通しにくさも課題です。「次の政策がどう変わるのか分からない。それだけで計画が立てられないんです」とオズグッドさんは語ります。
両国に広がる影響
この関税合戦は、カナダの中小企業にも同様の影響を与えています。カナダからの輸入業者だけでなく、カナダ国内で米国向けに販売していた企業も、報復関税によって市場を失う恐れがあります。両国の貿易関係は相互依存が深く、どちらにとっても「痛み分け」になっているのが実情です。
専門家は「大企業は別の調達先を確保したり、関税コストを吸収したりできるが、中小企業にはその余裕がない」と指摘します。まさに、今回のパロマ・クロージングの事例は、その典型と言えるでしょう。
生き残りをかけた工夫
厳しい状況の中でも、同店はさまざまな対策を講じています。まず、輸入品に頼らない国産(米国製)の商品を増やしました。また、顧客との直接販売を強化し、オンラインストアにも力を入れています。オズグッドさんは「私たちの本質は『良い服を提供すること』。関税ごときでぶれずに、できることをやるしかありません」と前を向きます。
それでも、長引く関税紛争は中小企業にとって大きなストレスです。ローチさんは「政府には早く交渉をまとめてもらいたい。私たちは政治の駒ではありませんから」と話します。両国の政策が、現場の声に耳を傾けて動くことが期待されます。
(この記事はNPRのインタビューをもとに、日本の読者向けに再構成しました。初出は2026年8月22日)
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